あさひ・こころのクリニック|尾張旭市向町の心療内科・精神科

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うつ病について

うつ病とは

うつ病とは気分が沈んだ状態が何週間も続く病気です。
うつ病の症状はこころとからだの両方にあらわれます。
うつ病の9大症状として下記の症状があります

1.抑うつ気分…気持ちがふさぎこんでいる状態

  • 気分が落ち込む
  • 憂うつだ、むなしい
  • 悲しい気持ちになる
  • すごく不安

2.興味や喜びの喪失…これまでやっていた活動や趣味にすら興味を持てなくなる

  • 何にも関心をもてない
  • 興味がわいてこない
  • 以前は楽しかったことも今は全然楽しくない

3.食欲の減退…食欲ない状態が続くこと

  • 何も食べたくない、食べても味がしない
  • 異常に食欲が出る
  • 特定のものばかり食べたくなる

4.睡眠障害…うつ病の人には不眠の人が多くみられます

  • 眠れない、夜中に目が覚める
  • 朝起きられない
  • 長く眠ってしまう
  • 日中も寝てばかりいる

5.精神運動の障害…口数少なくなったり、逆に落ち着きなく動き回ったりします

  • 焦燥感が強くなる
  • イライラする
  • 動作が鈍くなる
  • 声が小さくなる

6.疲れやすい・意欲の減退…体を動かしてないのに疲れる、体が重くて動かない

  • 何もしてないのにひどく疲れる
  • 日常生活すらやる気が起きない

7.罪責感…根拠なく自分を責める、世の中の悪い出来事も自分のせいだと思い込む

  • 全部自分のせいだ
  • 自分はダメな人間だ
  • 自分に価値なんてない(と自分を責める)

8.思考力や集中力の低下…仕事がスムーズに進まない、「頭に入らない」状態

  • 物事に集中できない
  • 仕事が以前のようにはかどらない
  • 本や新聞が読めない

9.死への願望…落ち込みがひどくなるとそのつらさに耐えきれなくなり死へいの思いが強くなる

  • 自殺したい
  • 生きているのがつらい

「普段のおちこみ」と「うつ病の」違いは?

★本人が強い苦痛を感じる
★これまで普通にこなせていた日常生活が送れなくなり「消えてしまったほうがラク」と思うほどの苦しみを感じる
でも、境界線がはっきりしているわけではありません。

日常的な落ち込み

(例)
★時間がたつと立ち直れる
★仕事や趣味で気がまぎれる
★生活に支障をきたすほどではない
★気晴らしや気分転換で改善される
★人に話をしたりして頼りたい

うつ病

(例)
★立ち直れない(2週間以上)
★仕事や趣味をまったくやりたくない
★遅刻欠勤など日常生活に支障が出る
★気晴らしや気分転換ができない
★人と接したくなくなる

本人が「つらくていたたまれない」と思う事がひとつのバロメーター

うつ病の診断について

うつ病の診断は『精神疾患の診断・統計マニュアル第4版(DSM-IV)』に基づいておこなわれます。
先に書いたように9大症状があらわれますのでいくつ当てはまるか、どのくらいの期間続いているのかによって判断されます。

  1. 抑うつ気分
  2. 興味や喜びの喪失
  3. 食欲の減退
  4. 睡眠障害
  5. 精神運動の障害
  6. 疲れやすい・意欲の減退
  7. 罪責感
  8. 思考力や集中力の低下
  9. 死への願望

上記のうち、
1、2のうちどちらかが当てはまる
3~9のうちいくつかが当てはまる
合計5つ以上の症状が当てはまる

これらが2週間以上続いている
本人が苦痛を感じていることや日常生活に支障をきたしている場合は

もしかしたらうつ病かもしれないので医師による診察をうけてみましょう

うつ病の原因は?

大きな環境の変化や過度のストレスが原因のひとつとして考えられます。
(うつ病のきっかけとなる出来事)

キーワード「喪失体験」

1.仕事に関すること
昇進、降格、失業、仕事の失敗、定年、人間関係
2.健康に関すること
月経、妊娠、出産、事故、病気、高齢
3.家族に関すること
子供の就職・進学・結婚、家庭内の不和、近親者の死亡
4.お金に関すること
貧困、税金問題、相続問題
5.結婚に関すること
婚約・結婚、恋愛関係
6.状況の変化
旅行、引っ越し、転勤、大きな災害(大震災など)

※「喜ばしい」と思えることでも環境の悪化としてストレスとなることもある。

うつ病の治療方法

治療の三本柱

うつ病の治療には大きく3つの方法があります。実際にはこれらの組み合わせた治療が行われます。
組み合わせて行うことが大切です。

「薬による治療」「心理的な治療」「環境調整」

1.薬による治療 薬物療法と呼ばれます。代表的な薬は「抗うつ薬」と呼ばれるものです。
バランスを崩してしまった脳の機能を薬によって改善していきます。
個人によって処方される薬は変わります。
抗うつ薬の作用と使われ方

1.作用するのは2~3週間後ぐらい。
そのため薬が効いているのか診るために薬を飲み続ける必要があります。
すぐに症状がよくならないからといって、服用を中止すると逆に悪化することもあります。

2.症状が改善しない場合は1~2カ月かけて薬の量を徐々に増やして、それでも改善がない場合は別の抗うつ薬に変更することもあります。

抗うつ薬の種類
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)
うつ病の原因である神経伝達物資のセロトニンだけに作用するために副作用が比較的少ないです。
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)
うつ病に関係している神経伝達物資のセロトニンとアドレナリンの両方に作用します。
三環系抗うつ薬
うつ病を改善する作用がありますが、一方で薬がセロトニン以外のアセチルコリンという神経伝達物質にも作用するためこれによる副作用があらわれることがあります(抗コリン作用)
主な副作用は便秘、排尿しづらい、口渇などです。
四環系抗うつ薬
三環系抗うつ薬の副作用である抗コリン作用を少なくする薬です。
2.心理的な治療 医師との対談やカウンセリングによる治療
考え方や気持ちを整理し、精神的な苦痛を和らげていくのがこの治療方法です。
認知行動療法とは

自身では修正できないような考え方や受け止め方を柔軟にし、問題の解決法をみつけるようすること。
うつ状態になるとなんでも悲観的に考え思い込みや想像によって実際にあったことをマイナスの捉え方でとらえてしまい、このマイナスの捉え方がうつ病を悪化させます。
これを改善するために対話やカウンセリングによってものの受け止め方や考え方といった「認知」を転換できるようにしていきます。

認知行動療法のステップ

認知行動療法はうつ病の人がどのようなストレスを抱えているかを知るところから始まります。
いくつかのステップを踏みながら、ストレスに上手に対処できるようにしていきます。

  1. 本人が抱えている問題を整理する
  2. 考え方のクセ(自動思考)が、本人の行動や感情にどのような影響を与えているか調べる
  3. 生活を振り返りながら、心が軽くなる活動を増やす
  4. 考え方のクセや現実とのズレに着目し、現実に沿った柔軟な考え方に変える練習をする
  5. バランスのよい考え方ができるようになったら、問題を改善していく方法や人間関係を改善する方法を練習し、今できることに取り組む

≪少しだけ行動するのも認知行動療法…行動を少しだけ変えてみるだけでも、気持ちを切り替えることができるからです≫

3.環境調整 職場や人間関係など、うつ病の発症に関係していると思われる環境的な問題を改善していきます。
(例)家族で話し合う

医師が本人や家族を交えてどうすべきか話し合いを行いアドバイスします。
医師や職場の人を交え、職場や役職を変えてもらう相談をする産業医がいる場合は産業医が人事担当や本人と話しあい職場変更や責任の重い役職から退くといった対応を模索します。

(例)思い切って入院をする

環境を変える目的での短期間入院もいままでの環境と距離を置くということで気づきがでてくることもあります。

再発を予防するために

うつ病がよくなっても、再びストレスの多い状態に戻ってしまうと再発する可能性があります。
環境や働き方を考え、心と体に過剰なストレスがかからないようにすることが再発防止の第一歩です。

1.治ったからといって無理をしない

自分の限界を超えて頑張りすぎたことが、うつ病につながった場合には頑張りすぎない、無理しすぎない環境に自分を置くようにできれば再発を防げる可能性が高くなります。

2.「喪失したもの」より「あるもの」に目を向ける

うつ病の背景には「何かをなくしてしまった」と感じる経験・体験があります。
喪失体験は確かにつらいものであり、喪失を埋めたい、取り戻したい気持ちも強くあります。
何かをなくしたとき、人は「なくしてしまったもの」に意識を向けがちですが、なくしたものより「あるもの」のほうが多いことに気が付けば、少しは楽になり、また希望がみえてきます。

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